141-150











(141)


「…放っておけばイイ」

「えっ。でも…。
 これ、あからさまに失踪予告ですよ」

「……アイツは私の手下ではナイ」
「………だから捜す必要はない、と。
 確かに仲間ではないですが…」


「それに…
 お前も『あの空間』から帰って来た時
 …しばらくの間ふらついてイタ」


「………あ…あれは失踪ではありません。
 現実なのか、あの空間にまだいるのか…
 判断が出来なくなっていただけ
です…。

 ……うっ。
 …思い出しただけで吐き気が……」
















(142)


「…ボス。
 もう2週間経ってますが…
 ハンニャーマンの姿を全く見ません」

「………」

 …ガシャーン!

「!!?」













(143)


「だだだだ誰だ!?」
「私は…」

「っあああああ!
 あの玉ねぎヘアー張り紙ナマハゲ!」


「…私は、はんちゃんの大家ですが?」

「いや、その髪型は…」
・で・す・が?」
「……はい。大家さんです」

「…ナマハゲ44号。何か用カ?」
「用があるから来たのよ」

「……ボスの時は何も言わない……
 ………いえ、何でもありません」



  ※張り紙ナマハゲ(ログ41)












(144)


「ひょっとこ!
 今月の家賃払いなさい!」

「…貴様の所に住んだ覚えはナイガ」

「はんちゃんが帰って来ないから、
 代わりにあんたが払って頂戴!


「…ボス、凄い一方的な理由ですね。」
「………」
「…あっ。払うお金がないんなら
 はんちゃん捜して来たら?
 そうしたら払わなくていいわよ


「………10倍にして払おうカ?」

…昔からアンタのそういう所が嫌いだわ!
 だけ食って生きてた私に哀れんで、
 定期的に食料送って馬鹿にしてた
 アンタだって知ってるのよ!!」


「…………あのー。
 お二人の関係がよく判らないんですが…」
















(145)


「……お前はそう思っていたのカ」

「な、何よ。その反応は…」
「……いや、別ニ
 仕方ナイ。ハンニャーマンを捜すゾ」

ちょ、ちょっと待ちなさい!
 本当にどういう意味なのよ!それ!
 何でそんなに不機嫌なのよ!」

「………」













(146)


「…ぼ、ボス。
 さっきのは一体どういう意味で…?」

「意味などナイ。
『ああいう言い方をしないと黙らない』から
 そうしたダケダ」

「な、なるほど……。
 ……でも、ちょっと不機嫌ですよね?」

「気のせいダ」
「…………」

「……あああ、あの!ボス!
 どうして上着を着てるんですか!?」

「その内ワカル。黙ッテロ
「………」
















(147)

「ボスがあんなに不機嫌だと…
 俺はどうすればいいのか……。
 せめて原因が判れば………

 …………判っても駄目か」




 …一方。

















(148)

『ボク、久しぶり…?なハンニャーマン。
 …何か物凄く時間が経ってる気がするのサ。


 ……というより、ここ…どこ…?


 のような見えるけど……。
 え?あれ!?
 どうしてボクここにいるのサ!?














(149)

『ボク、記憶逆行ハンニャーマン。
 とりあえず、ここまでどうやって来たのか
 記憶を思い出してみたのサ…。

 確か…手下Dが何か言おうとして…
 怖くなって全力で逃げて…

 包帯が邪魔だから全部取ってから…
 何でか書き置きみたいな手紙を送って…

 見つからないように何となく山に逃げたら、
 崖の近くで足を挫いて………

 ………落ちた……の?から…?』















(150)

『ボク、見たくなかったハンニャーマン。
 よくあんな崖から落ちて無事だったなあ
 …と、起き上がって……………

 ………………そうだよね。
 無事なわけないよね………。

 折れてはいないと思うけど…
 ……目の前にスプラッタがあったのサ。

 ああ。見たら痛くなってきたのサ…』