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(41)

『ボク、電柱の影に隠れるハンニャーマン。
 面の事は忘れて、ボス・ひょっとこの
 手下に愚痴を言ったのサ。

「それにしても…何でこんな変な噂が
 広範囲に流れてるのサ…」
「ハンニャーマンが色んな所で泣いていた
 から……というのもあるけど、
 大体の犯人はあの人だと思いますけど」

「あの人って……………うぎゃ!?

(……あれは…なまはげ……!)

「あの玉ねぎヘアーの人が…、かなりの
 数の張り紙を……」

「………」

 何の企みかすごく気になるんだけど…、
 それ以上に張り紙を一体何枚貼ったのか
 ……気になるのサ…』












(42)

『ボク、「張り紙を見つけたら剥がせ。
 じゃないと呪う
と無理矢理約束させた
 眼光鋭いハンニャーマン。
 ふと、ボス・ひょっとこの手下が
 ある事に気づいたのサ。

「そういえば…、最近私と会っても
 戦闘態勢を全然とらないですね…?」

「……わざと見逃してるのサ」
「忘れてるんじゃ…」
「違うのサ」
「忘れてますね?」
「違うのサ」
「絶対忘れてますよね?」
「………」


 …しつこいのサ!忘れてないのサ!!』















(43)

『オマケ:
 その時、ボス・ひょっとこは…

 自宅の壁に貼られた張り紙の数を
 黙々と数えていた…。

 自分で剥がす気はないらしい










(44)

『ボク、完全防寒ハンニャーマン。
 今日は食料を買い溜めするために
 買い物に出かけたのサ。
 その途中、大きなツリーを見かけたのサ。

「あー…。もうすぐクリスマスなのか…」

 忘れてた…というより、ボクは
 生まれてこの方、
 一度もクリスマスを
 経験した事がないのサ…


 …昔、お父ちゃんにサンタさんからの
 プレゼントを何にするか相談した時、

 「お前はキリスト教なのか!?」

 怒鳴られてから、クリスマスの話は
 一切出来なくなったのサ…。

 …泣いてなんかいないのサ










(45)

『ボク、心臓ドキドキ破裂ハンニャーマン。
 しんみりとツリーを見ていたら、
 極悪人みたいな声が聞こえて来たのサ。

「私もダ」
「みぎゃ!?…ひ、ひょーさん!!
 また読心術を………………って、
 ……貴方もクリスマスを…?」
「ああ、一度もナイ。
 唯一あるとしたら、その話題をした私に
 母が包丁で本気で襲ってきた
 事だけダ


「………………えー。
 ……ツッコミませんよ」
「構わナイ。毎年の事ダ
「………ツッコミませんよ」


 毎年クリスマス包丁事件なんですか?
 ……なんて言えないのサ。怖いのサ』










(46)

『ボク、サンタを知らないハンニャーマン。
 寒空の下、ボス・ひょっとこがある事に
 気づいたのサ。

「…つまり、私達はクリスマスが何なのか、
 よく知らない事にナル」

「……そうなりますね。
 ボクは未だにサンタさんが、何故こそこそ
 プレゼントを配るのか
が理解出来ません。
 あそこまで有名なのに……」

「だが、あいつだけはクリスマスを
 体験してイル」


「あいつって……………あっ」


 ボク達の目線の先にいたのは…!
 久々に続く!…なのサ』









(47)

『ボク、派手に落ちたハンニャーマン。
 目線の先には…サンタ姿でバイト中の
 ボス・ひょっとこの手下がいたのサ。

「…確かにクリスマスを体験してますね。
 どう見てもプレゼントする側ですが…。
 でも、何でサンタのバイトを…」
「私との賭けに負けたからダ」
「賭け?」

「今日午前九時にハンニャーマンが
 にかかるかどうかという…」

今朝の落とし穴の犯人は
 貴方ですか!!


 そんな賭けでボクを使わないで欲しい
 のサ…!』












(48)

『ボク、手先の感覚がないハンニャーマン。
 今日は雪が降っていたので、思わず
 雪だるまを作ったのサ。

 集中して作ったのサ。そしたら……。
 なんか…ボクに似た形に…。
 …大家さんに「後で壊しなさい」
 真顔で言われたのサ…』












(49)

 『ボク、震え止まらないハンニャーマン。
 今日はずっとコタツにもぐっていたのサ。
 あまりにも寒いから、エアコンをつけよう
 としたのサ。そしたら……。

 ……壊れてたのサ。

 …しばらくコタツから出れそうに
 ないのサ……』











(50)

『ボク、疑問戦士ハンニャーマン。
 コタツにもぐってウトウトしていたら、
 ボス・ひょっとこの手下から電話が
 来たのサ。

「もしもし。こちら、ハンニャーマン」
「あ。ボス・ひょっとこ手下Cです。
 ちょっとお聞きしたいんですが、
 そちらにボスはいませんか?」
「いないけど…ひょーさん、どうしたの?」
「いや、いつもの散歩に出かけただけ
 なんですけど……普段通りの薄着
 行ったので……ちょっと心配というか…」


「…この寒さであの格好……。
 ………あの人は…本当に人間?

「わかりません。
 ボスはたまに僕らの理解を遥かに超えた
 行動
をしますし……」


 …じゃあ何で手下になったのサ?
 手下もボクの理解を飛び越えてるのサ』