151-160











(151)


『ボク、考え事が多いハンニャーマン。
 もしかしてペンキだったりしないかな…?と
 真っ赤な足を触ってみたのサ。

うぎっ!!
 …や、やっぱり痛いのサ…」


 痛みで涙が出そうなのを我慢して、
 ボクは足をジッと見たのサ。
 …かなり乾いてる。
 もうこれ以上赤い液体は出ないだろう…。

 …でも、これって……
 相当時間が経ってるって事じゃあ…?

 ……ボクはいつからここにいるの?』













(152)


『ボク、嫌な予感ハンニャーマン。
 この足だと動けない…。ほふく前進でも
 しようかと考えていたけど……、
 …どっちにしろ帰り道が判らない事に
 気づいたのサ。意味ないのサ…

 そう悩んでいると…

 ガサッ

 …大きな物音がしたのサ。


 ……人だったら嬉しいけど……
 何か微かに…っぽい音と気配が……』
















(153)


『ボク、痛みも吹っ飛ぶハンニャーマン。
 …獣とかそういうレベルじゃなかったのサ。


 どう考えても現代にいない生き物が……。

 え?ちょ……何これ…?』















(154)


『ボク、非現実生物と対峙ハンニャーマン。
 ここからどう逃げようか考えたけど…、
 どっちにしろ足が物凄く真っ赤だし、
 腰が抜けてたから…無理だったのサ。

(ああ!駄目だ!死ぬ!さすがに死ぬ!)

 …すると、何処からともなく
 何かが落ちてくる音が響いて来たのサ。

 ダン!

「!?
 ひょ、ひょーさん!」


 上から落ちて来たのは…
 どう見てもボス・ひょっとこだったのサ』













(155)


『ボク、頑丈さでも勝てないハンニャーマン。
 いきなり現れたボス・ひょっとこに
 更に頭が混乱したのサ。

「ひょーさん…。どうしてここが…。
 いや、それより何処から落ちて来たのサ!?
 まさか……」
ハンニャーマンと同じ所カラダ」
「が、から…。なんという頑丈さ……」
「…お前に言われたくはナイ」
「ぼ、ボクはこの通り負傷を……
 そんな事より!ひょーさん後ろ…!


 ありえない生物を指差すが……
 ひょーさんは全くの無反応だったのサ。
 ………あれ?』











(156)


『ボク、目が点になるハンニャーマン。
 ひょーさんの無反応に驚いていると……、
 いきなり、その生物に近寄って行ったのサ!

「ちょ…!ひょーさん!」

 ポン

「……は?」

 …ボス・ひょっとこは、
 その生物の頭に手を置いたのサ……。
 でも、そいつは全く抵抗もせず……。
 というより、むしろ…。

「…ひょーさん……その……それ…」
「…こいつは私の手下ダ」
「え、えええええええ!?」


 どどどど…どういう事…?』












(157)

『ボク、理解不能ハンニャーマン。
 ありえない生物と、それをペットのように
 撫でるひょーさんの光景に…頭が真っ白に
 なったのサ…。

「それが…手下……?」
「…あぁ、
 こいつにハンニャーマンを捜させタ。
 見かけより鼻が利ク」

「鼻が利くって…犬じゃないんだから…。
 ……あの、それ何て言う生き物ですか?」
「………見ての通りダガ?」
「見て判らないから訊いてるのサ!」

「……それよりハンニャーマン」

 ボス・ひょっとこは、まるで最初から
 何も聞いてないという風に…、
 思いっきり話を変えて来たのサ』












(158)

『ボク、他の事が気になるハンニャーマン。
 無理矢理な話題転換…なのに、ひょーさんは
 真面目な顔で聞いて来たのサ。

「何故、2週間姿を消しタ?」

「! それは………………………………
 ……って、2週間も経ってるんですか!?
「時間はどうでもイイ」
(いや、どうでもよくない…)
「何故姿を消しタ?」

「…………ひょーさん。
 何か…機嫌が悪くなってない…?

私の事はどうでもイイ
「………」

 …やっぱり機嫌が悪いのサ』












(159)

『ボク、覚えてないハンニャーマン。
 不機嫌な雰囲気を出したまま…、
 ひょーさんは同じ事を聞いてきたのサ。

「再度問ウ。何故姿を消しタ?」
「な、何故と…言われても……
 ……ボクにも判りません。
 ただ、逃げないといけない気がして…」
「…本当に判らないノカ?」
「……本当の本当に」

「ならば、はっきり言オウ。
 お前は『面を外した自分の話』
 なると……後先考えず逃げ出ス」


「そ、そんな事…!」
「ハンニャーマンと私が出会ったばかりの頃
 ……逃げ出したナ」

「………え?」


 …そうだったっけ?』












(160)

『ボク、思い出し中ハンニャーマン。
 記憶を辿っていると、ひょーさんが
 呆れたように話し始めたのさ。

「あれは、確か10年前…」
「10年前…というとボクの歳が…」
「私とハンニャーマンは出会い…、
 お前は私を見るなり悲鳴を上ゲタ」

悲鳴………
 ああああああ!もしかして、あの時の!?
「思い出したカ?」

「あれは誰でも逃げるのサ!
 あの時のひょーさん物凄く殺気立って
 血まみれだったんですから!」

「…それは逃げる事ではナイ」
「………」


 …本気で言ってるっぽいのサ』