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(31)

『ボク、仰天硬直中ハンニャーマン。
 子供の声をよく聞くと「ひょっとこさん」
 とか「行かないで」とか

 明らかにボクやボス・ひょっとこの手下
 の時と違う言葉が聞こえるのサ…!

 …何なのサ。この違い…










(32)

『ボク、目眩満載ハンニャーマン。
 自分の時と明らかに違う子供の反応に
 呆然としていたら、ボス・ひょっとこが
 ボクに気づいたのサ。

 そしたら、ボクを指差して思いっきり
 「あっ」って言ったのサ。

「あっ!ハンニャーだ!!」
「!!!」


 子供達が、まるでおもちゃを見つけた
 かのように目を輝き始めたのサ…!

(わ、わざとだ…!
 ひょーさんボクをにしたのサ…!)















(33)

『ボク、大逃走中ハンニャーマン。
 荷物が重くて腕がもげそうなのサ…!

 やっぱり子供達の態度が違う…。
 ボクとひょーさんで全然違うのサ!!










(34)

『ボク、何とか逃げ切ったハンニャーマン。
 息切れしながら何とか公園に戻ったら、
 ボス・ひょっとこがベンチでくつろいで
 いたのサ…!

「ひょーさん!どういうつもりなのサ!」
「…早かったナ。公園1周ぐらいカ?」
「公園5周したのサ!
 そのせいで買った卵が全部割れたのサ!」
「…それは悪かっタ」

「今回ばかりは謝っても許さない!
 ひょーさんとは…絶交なのサ!!

「……元々敵同士じゃなかったのカ?」

「…………バーカバーカバーカ!
 ひょーさん何か嫌いだー!うわーん!」


 ボクは走った。目から汗を出しながら…。
 …泣いてなんかいないのサ!』












(35)

『ボク、暗闇孤独戦士ハンニャーマン。
 絶交してから5日が経ったのサ。

 …元々、ボス・ひょっとことは滅多に
 会わないけど、ここまで何もないと
 いつも以上に孤独な気がして、かなり
 ………いや、ちょっとだけ悲しいのサ。

 泣いてるのは寂しいからじゃないのサ。
 ちょうど映ってるアニメが泣けるだけなのサ。
 本当なのサ…』










(36)

『ボク、心臓飛び出しそうハンニャーマン。
 アニメが終わったと同時に、いきなり
 窓が開いたのサ。

 そこにはボス・ひょっとこがいたのサ。

「ひひひひひょーさん!?」
「邪魔スル」
「なな、何で窓から入るのサ!
 それに貴方とは絶交中ですよ!」

(もしかして謝りに来た…?)


 ……あ。
 でも、この人思いっきり土足なのサ…。
 …靴は脱いで。お願いだから』










(37)

『ボク、一瞬脳震盪ハンニャーマン。
 土足のボス・ひょっとこに文句を言おうと
 したら、何の前触れもなく思いっきり
 殴られて吹っ飛んだのサ。

「!!!??な、なななな…」
「いい加減、泣くのはヤメロ。
 …今の状況がわかってないノカ?」

「え…?今の状況…?」

「私の住んでいる所まで
 『すすり泣く般若の霊』が出るという
 噂が広がってイル」


「……………」
「囮にされたぐらいで泣くナ」
「えっ…あっ…はい……。
 ……って、やっぱりわざと囮に……」


 何か物凄く納得が出来ないような…。
 ……本当にそんな噂流れてるの?』












(38)

『ボク、要注意人物ハンニャーマン。
 今日はボス・ひょっとこが言っていた事が
 本当なのか確認しに行ったのサ。
 そしたら、初っ端からデカイ張り紙
 見つけたのサ。

「注意 化け物般若 出ます。」

「…………」


 …幽霊よりたちが悪くなってる気が…』












(39)

『ボク、能面に覆面ハンニャーマン。
 今日は買い物の予定…なんだけど、あの
 噂のせいでなかなか外に出れないのサ。

 そこでボクは覆面をして出かけたのサ。
 これで顔はバレないはず…!

 …だけど、いつも以上に振り返る人が
 多かったのサ…。
 …角のせいかな……?』










(40)

『ボク、何も言えないハンニャーマン。
 さっさと帰ろうと急いでいたら、
 ボス・ひょっとこの手下に会ったのサ。
 会うなり「うぎゃ」って驚かれたのサ…。

「ハンニャーマンか…!?
 何です。その格好…!覆面の隙間から
 見える目が怖いんですが……!」

「……変な噂が出てるから」
「あの般若幽霊の?
 …だったら、面を外せばいいんじゃ…?」


「…外せたら苦労しないのサ」

「……………え?」

「何でもないのサ。何も言ってないのサ」

「いや、今…外せないって……。
 ………その格好で睨まないで下さい


 ……別に睨んでないのサ』